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3.3排ガス凝縮技術

3.3.1排ガス凝縮技術について
1)凝縮の原理
スターリングエンジン燃焼器から排出される排ガスは、炭化水素燃料を使用するため、高温の炭酸ガス(CO2)と過熱蒸気(H2O)及び微量の酸素で構成されてい乱このCO2とH2Oは燃焼器から排出された時は高温ガスであるが、図3.3-1に示すように系の圧力が5〜7.5MPaでは、H2Oが525〜550kまで冷却されると液化され密度が急激に増加する。一方、CO2は285〜300k付近まで冷却されると液化される。すなわち、14〜27℃が大略の液化(凝縮)温度である。
このように排気ガスを構成している物質を相変化させるに都合の良い温度と準備可能な冷却液の最低温度を考え、それに対応する系の圧力を選定して排ガスを全量効率よく液化させる事が凝縮系の基本的な考え方であり、確立すべき技術である。
潜水調査船の冷却液としては海水の使用が前提であるので、太平洋の海水温度を深度基準で図3.3-2に示した。本図より
500m:9℃
1000m:6℃
1500m:4℃
2000m:4℃
が最低温度である。これに対してシステム圧力と凝縮温度の関係を示すと図3.3-3となる。実際のシステムでは1次冷却水温度を海水温度より2〜3℃高くすると、凝縮器冷却水の取り得る最大温度差は各圧力で、
システム圧力7MPa:17〜22℃
6MPa:11〜16℃
5MPa:5〜10℃
となる。このようにシステム全体の圧力は、凝縮させるのに得られる海水の最低温度から選定されることが基本条件である。システム圧力の大きい方が温度差を大きくとれるため、コンパクトな凝縮器の設計が可能になる事は事実である。
2)海中動力源システムヘの適用に対する課題
本スターリングエンジンシステムでは、排ガスを圧縮して海中へガスのまま放出する方法に対し排ガス処理動力が少なく、高効率となる排ガスを凝縮させて液化し、ポンプで加圧し液体で放出する方法をとっている。
エンジン本体からの排ガスは凝縮器に流入し凝縮させる計画であり、その主成分は水蒸気(H2O)と炭酸ガス(CO2)がモル分率で各々約50%となる。凝縮器では高圧下でまず排ガスが冷却されるとともに水蒸気が凝縮し、その後炭酸ガスの飽和温度となった位置で炭酸ガスが凝縮することとなるが、水蒸気の凝縮において炭酸ガスが不凝縮ガスとして凝縮熱伝達を低下させる方向に作用し、炭酸ガスの凝縮では凝縮水または水蒸気が存在すると炭酸ガスの凝縮熱伝達を阻害することとなる。

 

 

 

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